みならいの放浪記 1999 如月・第2回
〜雨の水軒〜

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1999年2月24日水曜日。5時半に目を覚まし,6時20分に家を出た。こんなに早い理由はそのうちわかる。

寝屋川市6:34発,淀屋橋行き準急は事前調査のとおり9000系。しばらく緑色の電車ともお別れである。京橋からは環状外回りで新今宮へ。フリーきっぷの「南海」の欄にはんこを押してもらって,改札を通る。

まずは7:15発の空港急行関西空港行。関西空港には開港前に2度(高校の実力テストをすっぽかして……)行ったのだが,よく考えたら青春18きっぷで行ったわけだ。となると,南海電鉄の泉佐野〜関西空港間は乗ってない。りんくうタウン〜関西空港間はJRと南海は線路を共用しているので,実質乗ったようなものだが,どうせりんくうタウンまで乗るなら手間は変わらないので関西空港まで行く。

朝から乗客が多いことに驚いたが,よく考えれば空港の職員とか店の店員とかは鉄道で通勤しているのだから当たり前だ。しかし,それ以上に驚いたのは,関西空港駅のホームでは缶ジュースが130円で売られていること。そりゃ,ここまで運んでくるには高い通行料を払って連絡橋を渡ってこないといけないから仕方がないかもしれないが,コ○コーラボトラーズの陰謀に違いない。

連絡橋の通行料を払わずに運んでくる方法はいくつかあるね。
1)鉄道に積んでくる
2)船に積んでくる
3)飛行機に積んでくる
でも,そんなことないよな……たぶん……

関西空港滞在10分(ただし,ちゃんと一度改札は出た)で折り返し,泉佐野で乗り換え。和歌山市行き急行がちょうど向かいに停まっているが,地下道を人の流れに逆ら って進むうちに出ていった。計画では次の列車に乗ることになっていたからそれでいいのだが,雨が降って肌寒いホームで待たされるのは気分がよろしくない。そのうえ,私はよっぽどの理由がない限り先頭車に乗るのに,先頭車の停まるべき位置は喫煙コーナーで,煙がもくもく。

8:25発の和歌山港行き急行に乗って,和歌山市で下車。しばらく駅の周りを探検するが,大雨で傘がびしょ濡れ。駅に戻って,9:17発の水軒行きを待つ。第1回にも書いたが,和歌山市〜和歌山港間は1時間に1本程度列車があるのに,その先水軒まで1駅間は1日2本しかない。この列車が本日の始発で,15:20が終電である。現在のところ,日本でいちばん不便な駅である。

休日のみ2本というのがJR西日本山陽本線の兵庫〜和田岬間。 昔は国鉄清水港線というのがあって,1日に1本しか旅客列車がなかった。 1日に1本しか列車が停まらない駅は北海道の石北本線にいくつかあるが, それらの駅とて通過列車を含めればもっとたくさん列車が来るのである。

ところがぁ。目指す7番線の手前には自動改札が並んでいる。もちろん,私のフリーきっぷは磁気エンコードされていないから通れない。こんなはずれに駅員などもちろんいない。じゃあ,どうするのか。インターホンがあって「ご用の方はボタンを押してください」とある。押す。しばらくあって駅員が出る。めんどくさそうに「どうしましたぁ?」と言う。「3・3・SUNフリーで和歌山港の方に行きたいんですけど」「あ,ちょっと待ってね」

そうすると,遠隔操作で自動改札機の一台が「使用中止」状態になった。ただし,扉は空いたまま。要するに,そこを通れということらしい。実は,ここに自動改札があるのは「スルッとKANSAI」対応のためで,和歌山港線内の無人駅で乗降する客はここの改札の両側にある特別精算機にカードを入れると,駅名が印字されて適切な額が引き落とされる模様。

そうして,無事2両編成の客となる。久保町,築地橋,築港町,和歌山港と止まるたびに1人ずつ客が降りていって,残り1人になった。そして,何の感慨もなく和歌山港を発車した列車は,2分ほど走って終点水軒に着いた。ホームが1本あるだけの駅。いや,引き込み線はあるのだが,その引き込み線には架線がない(笑)。

さて,どうするか。水軒は和歌浦に近く,バスが出ていると聞いていたので帰路はバスにするつもりだった。そこで,小雨の中しばらくたたずんでいると,突如「ブー」とブザーが鳴って,どこからか現れたたった1人の客を乗せた始発列車は霧の向こうに消えていった。

周りに人がいなくなったので,手動で,ハンドルが所在なげに出ている引き込み線のポイントを動かしてみる。(よいこのみんなはマネしないように)予測できたことだが,錆び付いていて動かない。やることもなくなったので,バス停を探す。駅前……にはない。こういう場合はどうするか。バスの通っていそうな道を野生の勘で探すのだ。しばらくキョロキョロして,どうやらあれらしい,という道を見つけたところで以下次号。

次回予告:

まだ1日目の朝9時半じゃないか!いつ終わるともしれない放浪記,次回,和歌山の悪夢。サービス,サービス(ん?)


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