みならいの放浪記 1999 弥生・第5回
〜大阪で一悶着〜

←第4回 〜山形から福島へ〜 へ
↑紀行文倉庫(その1)へ


このバスは名神を京都東で降りて京都駅八条口6:06着,京都南ICからまた名神に乗って,豊中ICから阪神高速経由で大阪OCATに7:05着。あべの橋に7:26に寄って,終点上本町には7:43に到着することになっている。

京都東ICで料金を払うときに目が覚めた。時計を見ると5:20。どう考えてもここから八条口まで40分もかかるはずもなく,5:34に八条口に着いた。およそ30分の早着である。驚くことに,客の半数以上,若いおねえさんに至ってはそのほとんどが京都で降りてしまった。京都観光に使うのだろうが,こんな早朝に降ろされてどうするんだろう。名神高速も空いていて,OCATに着いたのは6:23だった。40分の早着。難波界隈を走っていると,南海の観光バスとすれ違った。20号車とか,26号車とか書いてある。いったい何なのかとよく見ると,それは……

T.M.Revolution オフィシャルツアー様

であった。いったい何台連ねてどこへ行くのやら。

この調子で,福島交通バス「ギャラクシー号」は7:00に上本町バスターミナルに着いた。降りてのんびり背伸びなんかしていると,運転手2名と外国人がなんかごちゃごちゃ話をしているので,話に加わった。すると,運転手が「きみ英語できる?よかったぁ」なんて話をしている。英語と,ほんの少し日本語をしゃべる外国人がいて,東北弁しかしゃべらない運転手がいて,会話が成立するわけがない。

んで,彼の話を聞く。7:26にあべの橋に着くから,そこから御堂筋線で新大阪に出てくるように,と知人に言われていたらしいのだが,7:00にもう終点だと言われて困ってる,このバスはもうあべの橋へは行かないのか?というのだ。そこで,このバスは行かないけれど,新大阪へ行きたいならここから地下鉄で行けばよい,と教えてあげることにした。

みならい「ゆーきゃんごーとぅーしんおおさかばいさぶうぇい」
とーます「はう」
みならい「ふぁーすと,ゆーていくせんにちまえらいん,とぅーなんば」
とーます「……?」
みならい「ぴんくらいん」
とーます「いえーす!」
みならい「せかんど,ゆーていくみどーすじらいん,れっどらいん,とぅーしんおおさか」
とーます「いえーす! あんど,ふぇあーいずざさぶうぇいすてーしょん」
みならい(運転手に向かって)「ということなんで,彼連れて地下鉄の駅まで行きますわ」
運転手2名「あ,どうも。助かります。そうやな,俺たちもちょっと英語くらい勉強せなあかんかもな」
みならい(運転手に向かって)「じゃ,お気をつけて。」
みならい(とーますにむかって)「れっつごー」

んでもって谷九まで歩いて,彼にきっぷを買わせて,自分はラガールカードで改札を入って,千日前線・御堂筋線と乗り継いで,私は淀屋橋から京阪で帰宅した,というわけ。もともとは鶴橋まで歩いて環状線・京橋経由で帰ろうかと思っていたから,それとくらべて出費がかさんだけど,まあ人助けということで。

ちなみに,このとーます氏,スウェーデン人で札幌に3ヶ月住んでいて,クロスカントリースキーの達人なんだそうな。確か3月28日に帰国すると言っていたけど,そんな彼がどうして山形から大阪へ向かう夜行バスに乗っていたのかは不明のまま。

みならいの放浪記 1999 弥生,これにて完結。

後日談:セミナーの準備をして,次の日大学へ出かけるはずが,メールをチェックすると「無理して入試の採点して風邪を引いたので明日のセミナーは中止」。これならもうちょっと東北大陸に滞在できたじゃないか!

さらに後日談:山形中央局で手こずった再入力を,もっとヘンなところでやってみよう!という壮大な(?)計画の元,帰ってきた日に京都市の中京郵便局へ。一応理由があって,あまり小さな郵便局でヘンな作業を頼むのは気が引けるから未訪の集配普通局で近い(三条から徒歩10分ほど)ところを選んだわけ。窓口のおねえさんに「前の局がオフラインなんで,再入力が必要なんですよぉ」と事情を説明して通帳を渡したら,はいはいと端末をなにやら操作して,しばらくしてから奥へ行って相談している。ひょっとして,最悪の「重ね打ち」でもくらったか,とびくびくしていると,何のことはない,ちゃんと出来ていた。山形中央より手際がよかった感じ。それも何だかなぁ。


↑紀行文倉庫(その1)へ


minarai@nnn.ac